更新:2021年2月21日
お子さまの不登校が続くと、保護者の方は、「学校に行く『キッカケ』を作れないだろうか」と焦ってしまうこともあるでしょう。
とはいえ、学校復帰のキッカケはお子さまによってさまざまです。保護者の方がそのキッカケをピンポイントで提供できるかというと、あまり現実的ではありません。
お子さまが自ら学校に行くためのキッカケをつかむために、保護者の方は何ができるのでしょうか。ポイントや注意点について解説していきます。
目次
不登校のキッカケとは?お子さまの状況を把握していますか?
お子さまの不登校になるキッカケはさまざまです。例えば、次のようなものがあげられます。
- イジメなどの学校での人間関係の悩み(友達、先輩、後輩、先生)
- 勉強に対する悩み(勉強がわからないことへの劣等感、勉強をする意味を見出せない)
- 学校やクラスの雰囲気に馴染めない(授業中の様子や校則など)
- 生活リズムの乱れ(部活動や塾通いと学校の両立が難しい、家庭環境の変化、ゲームの影響など)
実際には、複数のキッカケが重なって不登校になっていることが多く、また、上記のようなキッカケは表面的なものに過ぎず、お子さまが長期にわたってストレスをため込んできた別の要因が潜んでいる場合も少なくありません。
不登校のお子さまに保護者ができること
不登校はキッカケさえあれば学校に行けるようになるという単純なものではありません。本人が段階を経て少しずつ自信を取り戻し、自分自身で前に進むキッカケをつかんで初めて、学校復帰できるようになります。
そのためには、保護者の方がお子さまの状態に応じて、適切なサポートをすることが不可欠です。
【不安定期】家庭を安心できる居場所にする
不登校になったばかりのお子さまは、心身ともに消耗しきっている不安定な状態。
行動を起こすことが難しく、何よりも休息が必要です。
このタイミングで保護者の方にできるのは、お子さまのあるがままの姿を受け止めて、見守ることです。お子さまが不登校への罪悪感を抱き、家庭に居づらさを感じてしまわないよう、まずは家庭が安心できる居場所になるようにしましょう。
また、この時点では保護者からのアプローチはまだせず、お子さまの方から思いを話してくれるまで待つことも重要です。少しずつ言葉を発するようになったら、じっくり耳を傾け、本人が好きなだけ話せる状況を作りましょう。
学校についても、今は行けなくても仕方ないことを伝え、十分に休ませてあげましょう。
【安定期】やりたい活動に取り組める環境を整える
休憩を経て自信を取り戻してきたお子さまは、次第に「何かしたい」「何かしなければ」という意欲や焦りが出てくるようになります。このタイミングで自発的に行動できた経験が、のちに学校復帰のキッカケにもつながります。
そこで保護者の方は、お子さまがやりたいことに十分に打ち込めるように、サポートしたいところです。例えば、お子さまが「勉強をしたい」というのであれば、勉強に集中できるように部屋の環境を整えたり、家庭教師やオンライン学習など自宅で勉強できる選択肢を提示したりすると良いでしょう。
「役に立ちたい」というお子さまには家事を手伝ってもらったり、一緒に買い物に外出したりすることも良いでしょう。
【停滞期】外部の支援機関などに相談する
十分に休ませたのに本人がなかなか行動を起こせず、家庭では復帰に向かうことが難しい場合は、不登校支援機関や各種相談窓口、医療機関などの利用も検討しましょう。
もちろん、お子さまが抵抗を示すことも多いため、最初は保護者だけで相談するのも有効です。
【回復期】学校復帰に向けた解決策を一緒に実践する
少しずつ活動を再開する中で何らかのキッカケをつかみ、お子さまが「学校に行こうかな」という想いを口にするようになったら、学校復帰に向けて話し合い、具体的な解決策を一緒に考えて実践していきましょう。
例えば、生活リズムを整えながら、登校に向けた心の準備ができるように、小さな目標を設定する方法が有効です。「学校に間に合う時間に起きる」「制服に着替えてみる」「玄関を出てみる」など、小さなステップで学校復帰ができるように、見守り、応援しましょう。
同時に、保護者の方が学校と連絡を取り合って連携することも不可欠です。
「別室登校でも良いか」、「進級の際に登校日数を考慮してもらえるのか」など、柔軟に対応してもらえるように相談しましょう。
通っている学校への復帰が現実的に難しい場合には、他校への転入を含めた選択肢をお子さまと検討するのも良いでしょう。
【要注意】キッカケの押し付けはNG
不登校から学校に行けるようになるキッカケは、お子さまによってさまざまです。
趣味に打ち込んで何かを成し遂げた経験、家庭教師などの第三者からの言葉など、あらゆることが復帰のキッカケになります。
保護者にとっては思いもしなかったことが復帰のキッカケになる可能性もあるでしょう。そうしたキッカケから、お子さまの中でやりたいことや目標ができれば、お子さまの中で前向きな気力が高まっていき、学校にも復帰できるようになるのです。
しかし、保護者の方がムリにキッカケを作ろうとすると、逆にお子さまのエネルギーを奪ってしまう恐れもあります。例えば、保護者が勉強面での心配から、勝手に家庭教師をお願いしたり、オンライン学習を申し込んだりと、たとえそれが我が子を想う善意であっても、お子さまは自分がしたいことではなく、保護者のしたいことをさせられると気力がそがれてしまうかもしれません。
同じように、親子の対話の中でも、お子さまの気力を減退させないように注意が必要です。お子さまの言葉を遮って保護者の意見を挟んだり、「なぜ学校に行けないのか?」「何がしたいの?」と問い詰めたりすると、お子さまは前向きに解決を目指す気力を失ってしまいます。
お子さまが不登校になると保護者も焦ってしまいますが、あくまでお子さまが自発的な気力を高めるためのサポート役に徹することが、不登校解決の近道だといえるでしょう。
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